- M.SasukeさんはAI使用を隠しているのではなく、公式プロフィールで明確に公表しています。
- 「GG EZ」のヒットは、AIそのものより、短尺動画で使いやすい曲とダンスカバーの連鎖が大きかったと考えられます。
- 本人出演の動画が決め手だったとは断定できず、むしろ有名アーティストが曲を使ったことが“信用装置”になりました。
はじめに
M.Sasukeさんの「GG EZ」が大きく伸び、「これ、もしかしてAIで作られた曲なの?」と驚くひとが増えています。しかし、実際にはAI使用をこっそり隠していたわけではありません。公式YouTubeではAIツールを用いて制作していると説明し、公式リンクページにも「I make songs with AI」と明記しています。つまり、後からバレたAI疑惑ではなく、最初からAIを制作手段として掲げた活動なのです。
それでもSpotifyでは執筆時点で月間リスナーが約64万人、「GG EZ」は約530万回再生と表示され、Billboard JAPANのHeatseekers Songsでも首位を獲得しました。「AIだから聴かない」という拒否反応より、「なんかこの曲クセになる」という感覚が勝ったわけです。
では、AIでも曲さえよければ売れるのでしょうか。本人が出演する動画によって、AIっぽさを消したことが決め手なのでしょうか。意外に的確で、AI音楽制作者には少々辛辣な裏事情を5つ見ていきますw
【1】「AIだった!?」ではない! 最初から堂々と書いてますw
まず大前提として、M.SasukeさんはAI使用を隠していません。公式YouTubeの説明には、AIツールを用いて制作したオリジナル楽曲を扱っていると書かれています。公式リンクページにも、英語でAIを使って曲を作っていると明記されています。
そのため、「普通のアーティストだと思っていたら、後からAIだと発覚した」という構図ではありません。むしろ、AIを使用していることを公表したまま、曲が先に広がった事例です。
- AI使用を隠して人間制作に見せかけたわけではありません。
- AIという話題性だけでなく、楽曲単体でも繰り返し再生されています。
- リスナーの一部は、AIかどうかを確認する前に曲を好きになっています。
ここが重要です。いままでAI音楽は、「AIで作りました!」という技術紹介会になりがちでした。ところが一般リスナーは、使用モデルやプロンプトの工夫を聴きたいわけではありません。
サビが気持ちいいか、声が好みか、動画に使いやすいか、もう一度再生したくなるか。結局、審査されるのは従来の音楽と同じ部分です。
「最新AIで生成しました!」と100回説明するより、無言でサビを15秒流したほうが強い。技術者には残酷ですが、これが音楽市場ですw
【2】曲がよければAI関係なく売れる?⇒半分正解、半分は甘すぎますw
「曲がよければAIでも売れる」という意見は、基本的には正しいです。多くのリスナーは再生ボタンを押した瞬間、制作工程を調査しません。イントロやサビを聴き、「好き」か「飛ばす」かを数秒で決めます。
ただし、「よい曲を作れば自然に発見される」という意味なら間違いです。配信サービスには毎日、大量の新曲が追加されます。どれほど完成度が高くても、最初の再生が発生しなければ、存在していないのとほぼ同じです。
「GG EZ」が強かったのは、楽曲の完成度だけではありません。タイトルが短く、フレーズを覚えやすく、リズムに合わせて体を動かしやすい。さらにゲーム用語として知られる「GG EZ」が題材なので、文字だけでも内容を想像できます。
- タイトルを一度で覚えられます。
- 短い区間を切り抜いても曲として成立します。
- ダンス、ファッション、ゲーム系の動画と合わせやすいです。
- 日本語圏以外でもタイトルの意味を共有しやすいです。
つまり、曲がよいだけでなく、SNS上で運ばれやすい形になっていました。
「よい曲」と「売れる曲」は同じではありません。売れる曲には、誰かが使いたくなる余白があります。M.Sasukeさんの事例は、「AIでも名曲を作れる」というより、「AI曲でも拡散構造まで整えば、大勢に届く」と見たほうが的確です。
【3】最大は本人の宣伝ではなく、“他人が勝手に踊る状態”ですw
「GG EZ」の拡大で見逃せないのが、ダンスカバーです。Billboard JAPAN系の記事では、BTSのJUNG KOOKさんが同曲を使用したダンス動画を投稿し、ENHYPENや&TEAMのメンバーらもカバー動画を公開したことが話題の背景として挙げられています。
これは普通の宣伝よりはるかに強力です。制作者本人が「この曲は最高です」と100回投稿しても、宣伝として見られます。しかし、すでに人気を持つひとが楽しそうに踊れば、「この曲、いま流行っているらしい」という社会的証明になります。
しかも、ダンス動画では曲名を知らない段階から音が耳に入ります。同じ曲を別の投稿者が使用すると、視聴者は数日のうちに何度もサビを聴くことになります。
- 1回目:「なんか流れてる曲だな」
- 3回目:「またこの曲だw」
- 5回目:「曲名なんだっけ?」
- 10回目:「Spotifyで聴いてみるか」
こうして短尺動画のBGMが、ストリーミング再生へ移動します。公式YouTubeの自動生成音源でも「GG EZ」は数百万回規模の再生を記録しており、短尺動画内だけで消費されず、フル音源まで聴かれたことが分かります。
AIがヒットさせたというより、ひとが踊り、別のひとがまねし、アルゴリズムが何度も運んだのです。最後に勝つのは、やっぱり人力でしたw
【4】「本人出演ビデオが決め手」説⇒現時点では断定できません!
本人が動画に出演すれば、AI音楽に足りないとされる「顔」「物語」「親近感」を補えます。そのため、本人出演がヒットの決め手だったのではないかと考えるひともいるでしょう。
しかし、公開情報だけを見る限り、本人出演が最大の決定打だったとは断定できません。公式YouTubeで確認できる中心的なコンテンツは、英語・韓国語・日本語に対応したリリック動画やプレイリストです。少なくともYouTube上では、本人の顔を前面に出した長編ミュージックビデオだけで伸ばした形ではありません。
むしろ強かったのは、別の有名なひとがその曲で踊っている映像です。
ここには面白い逆転があります。AIアーティスト本人の顔が信用を生んだのではなく、現実に存在する人気アーティストの身体が、曲へ現実感を与えた可能性があります。
- 本人出演=制作者に対する親近感が生まれます。
- 有名人の使用=曲そのものに対する信用が生まれます。
- 一般ユーザーのカバー=「じぶんも参加できそう」という空気が生まれます。
もちろん、今後M.Sasukeさん自身のキャラクターや出演動画が、ファン化を進める可能性はあります。しかし、今回の初速については、「本人のビジュアルが刺さった」より「曲を使うひとのビジュアルが次々と現れた」と見るほうが自然です。
【5】AIの本当の強さは“一発で神曲”ではなく、試行回数を増やせることですw
AI音楽の強みを「ボタンを押せば名曲が完成すること」だと思うと、だいたい失敗します。実際には、ボタンを押して出てくる大半の曲は、普通か、どこかで聴いたような曲か、惜しいけれど使えない曲です。
本当の強みは、試作品を作る速度です。
サビの方向性、テンポ、歌声、ジャンル、構成を何度も試し、その中から制作者が「これなら出せる」と判断したものを仕上げられます。つまり、AIが人間の審美眼を不要にするのではなく、審美眼があるひとへ大量の選択肢を渡します。
TuneCore上の「GG EZ」のクレジットでは、作詞、作曲、プロデュース、プログラミングがM.Sasuke名義で登録されています。一方で本人はAI使用も公表しています。これは、AIを使用したから制作者が消えるのではなく、AIを含む制作工程全体を選択・管理する役割が残ることを示しています。
- どの出力を採用するか。
- どの部分を修正するか。
- どのタイトルで公開するか。
- どの15秒を動画で使うか。
- どの国や言語の視聴者へ届けるか。
この判断を外すと、AIで毎日100曲作っても、誰にも覚えられない音源倉庫が完成しますw
M.Sasukeさんの結果から学ぶべきなのは、「AIなら誰でも売れる」ではありません。「AIを使って試行回数を増やし、その中からSNSで運ばれる曲を選べたひとは強い」です。
質疑応答コーナー

AIで作ったことを公表しても、曲がよければ本当に売れるんすか??

売れる可能性はあります。ただし、「曲がよい」の中には、音質やメロディーだけでなく、覚えやすさ、動画での使いやすさ、タイトル、投稿のタイミングまで含まれます。AIという制作方法だけで売れなくなるわけではありませんが、AIだから自動的に売れるわけでもありません。

じゃあ、本人が顔を出して踊った動画がヒットの決め手なんすか??

今回については、そのように断定できません。公開情報では、JUNG KOOKさんをはじめとする人気アーティストによるダンス動画が話題になっています。本人の顔出しより、「すでに人気のあるひとが使った」という事実のほうが、初期の拡散には大きく働いた可能性があります。

結局、AIで毎日大量に曲を出せば、どれかは当たりますよね??

大量に出せば当選確率は多少上がりますが、似た曲を無計画に出すと、アーティスト名そのものが覚えられなくなります。大切なのは生成数ではなく、公開前に捨てる力です。100曲作って100曲出すひとより、100曲から1曲を選べるひとのほうが強いのです。
まとめ
- M.SasukeさんはAI使用を公表したまま、「GG EZ」で大規模な再生とチャート首位を実現しました。
- ヒットの決め手は本人出演と断定できず、楽曲の使いやすさと著名アーティストによるダンスカバーが大きかったと考えられます。
- AI時代でも最後に問われるのは、選曲、見せ方、拡散設計、そしてリスナーがもう一度聴きたくなるかです!




































